築古戸建ての内見チェックリスト|現地で必ず見る12のポイントと大家の判断
結論:内見で見るべきは「あとから直せない欠陥」と「直すといくらかかるか」の2つだけです。内装(クロス・床・建具)は買ってからDIYで直せますが、建物の傾き・雨漏りの経路・汚水管の位置・立地は現地でしか見極められず、判断を誤ると利回りが一気に崩れます。修繕費は「いくら」ではなく家賃に換算していくらで考えると、買付価格の線引きがぶれません。
内見チェックとは、物件を買う前に現地で「隠れた欠陥(=価格に反映すべきマイナス)」と「自分のDIYで圧縮できるコスト(=仕入れの武器)」を切り分ける作業のことです。築古戸建て・長屋は写真や図面に出ない情報が価格を左右するため、ここでの見落としが最大のリスクになります。
内見で必ず見る12のチェックポイント
優先度は「直せない・直すと高いもの」ほど上です。上から順に、致命傷がないかを先に潰していきます。
| # | チェック項目 | 見るポイント/なぜ重要か |
|---|---|---|
| 1 | 建物の傾き | 床にビー玉・水平器を置く。基礎や地盤が原因の傾きは直せない・費用が読めない致命傷になりやすい |
| 2 | 雨漏りの跡 | 天井・壁のシミ、2階の押入れ天井、屋根裏。跡があれば経路と現状(止まっているか)を確認 |
| 3 | シロアリ・腐り | 床下・水回り周辺の柱を軽く叩く/床のフカつき。被害範囲は素人判断が難しく、専門調査の対象 |
| 4 | 汚水管(トイレ)の位置 | トイレをどこに作れるかは汚水管の位置で決まる。移設は費用が大きく、間取りの自由度を左右する |
| 5 | 前面道路と間口 | 前面道路4m以上・間口2軒(約3600mm)あると改装も再販もしやすい。狭小・再建築不可は出口に直結 |
| 6 | 階段の位置 | 奥向きだと1階を広く使える。移設は約20万円が目安と大きいので、現状で成立するか見ておく |
| 7 | 給排水・電気の生きているか | 止水栓・ブレーカーの有無、引き込みの状態。インフラの新設は高額になりやすい |
| 8 | 窓・サッシ・建具の建て付け | 開閉の重さは傾き・歪みのサイン。クレセント錠のゆるみ程度ならDIYで直せる |
| 9 | 外壁・屋根の状態 | クラック(ひび)・シーリング切れ・屋根材のズレ。雨の入口になる箇所を外からも確認 |
| 10 | すでに綺麗な部分 | 触らなくていい部分が多いほどリフォーム費が下がる。「どこを残せるか」も仕入れの評価軸 |
| 11 | 設備の交換しやすさ | 独立洗面台・モニター付インターホン・独立型コンロなど、募集で効く設備を後付けできる余地 |
| 12 | 周辺環境・需給 | 賃貸需要(駅・学校・工場)と競合の数。「釣り人が少ない場所」かを地図と現地で確認 |
「直せる欠陥」と「直せない欠陥」を切り分ける
内見の目的は、欠陥を「価格を下げる材料」と「買ってはいけない理由」に仕分けることです。
- 直せる(買ってから圧縮できる):クロス・床(CF)・建具の建て付け・塗装・照明・設備の後付け・解体分別。これらはDIYで原価を大きく下げられるので、むしろ仕入れの武器になります。
- 直せない/費用が読めない(買付価格に厳しく反映):地盤・基礎由来の傾き、広範囲のシロアリ被害、再建築不可・接道不良、インフラの新設。ここに不安が残る物件は、価格が安くても見送るか、専門調査を条件にするのが安全です。
現地での傾きの見方(いちばん見落とされる致命傷)
傾きは写真に写らず、内見でも意外と見落とされます。床にビー玉やペットボトルを置く簡易チェックでも傾向は分かりますが、購入を本気で検討する物件では、数値で残せるレーザー水平器(レベル)を1台持っておくと判断がぶれません。壁や床の水平・垂直を線で確認でき、家全体の傾き傾向を短時間で把握できます。
内見に1台、レーザー水平器(レベル)
私は物件を見に行くとき、レーザー水平器(レベル)を持っていきます。高価なものでなくて十分で、家の傾きの確認にとても便利です。床にビー玉を置くだけよりも、壁・床の水平/垂直を線で確認できるので、「この傾きは建て付けの範囲か、基礎まで疑うべきか」の当たりが早くつきます。あわせてレーザー距離計(ペン型)があると、間取り・カーテンや壁紙の数量を採寸でき、内見の場で修繕数量の見当までつけられます。
楽天でレーザー水平器を見る Amazonでレーザー水平器を見る 楽天でレーザー距離計を見る Amazonでレーザー距離計を見る修繕費は「家賃に換算」して買付価格を決める
内見でリフォーム項目を洗い出したら、次は「その修繕にいくらかけていいか」です。ここで感覚に頼らないための物差しが6万円=1,000円換算則です。修繕原価6万円は家賃1,000円アップ相当(1,000円×12ヶ月×5年=6万円・5年回収を内包)と考えると、「この設備を足すと家賃をいくら上げられるか」から逆算して予算を決められます。
そして買うかどうかの入口は辻本式14.5%ルール。表面利回り14.5%以上・投資回収7年以内を購入検討ラインとする運営者の実務基準です。内見で見積もった修繕費を総投資額に足しても、このラインに届くかどうか。届かなければ、値引きで届かせるか、見送るかの二択になります。数字での判断は6万円=1,000円換算則ツールや利回りシミュレーターで試算すると整理しやすいです(結果は一般的な目安であり、投資判断はご自身の責任でお願いします)。
値引き交渉の目安
内見で洗い出した修繕費は、そのまま値引きの根拠になります。運営者の実例では、180万円の売り出し物件に165万円で買付を入れて成立したケースがあります。売り出し価格の1割程度が交渉余地の目安ですが、「値引交渉不可」と明記された物件では無理に下げようとしない、といった見極めも必要です。修繕費という具体的な数字を示せると、交渉の説得力が上がります。
→ 自分の物件に合う修繕は? 30秒診断へこの記事のまとめ(大家の判断ブロック)
- 結論
- 内見で見るのは「直せない欠陥(傾き・雨漏り・汚水管・立地)」と「直すといくらか」。内装は買ってからDIYで圧縮できる。
- DIYでできる範囲
- クロス・床(CF)・建具の建て付け・塗装・照明・設備の後付け・解体分別。内見での傾き/採寸チェック(レーザー水平器・距離計)。
- 専門家に頼む範囲
- 基礎由来の傾き、広範囲のシロアリ、再建築可否・接道の判定、床下/屋根裏の本格調査。ホームインスペクションの活用も検討。
- 費用の目安
- 修繕費は「いくら」ではなく家賃換算で判断(6万円=1,000円換算則)。金額は一般的な目安であり物件により異なります。
- 家賃・利回りへの影響
- 内見の見落としは利回りを直撃する。買付は辻本式14.5%ルール(表面利回り14.5%以上・回収7年以内)に届くかで線引きし、届かなければ値引きか見送り。
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よくある質問
- Q. 内見でいちばん見落としてはいけないポイントは?
- 建物の傾きと雨漏りの跡、そして汚水管の位置です。いずれも「あとから直せない・費用が読めない」欠陥につながりやすく、クロスや床のように買ってから直せる項目とは重みが違います。床にビー玉や水平器を置く、天井のシミを見る、トイレの位置を確認する、の3点は最初にチェックしてください。
- Q. 修繕費はいくらまでかけていいか、どう決めればいいですか?
- 「6万円=1,000円換算則」で家賃に換算して考えます。修繕原価6万円が家賃1,000円アップ相当(5年回収を内包)なので、上げられる家賃から逆算して予算を決められます。そのうえで、総投資額が辻本式14.5%ルール(表面利回り14.5%以上・回収7年以内)に届くかで、買付価格を判断します。